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敬称略 No タイトル 登場キャラクター 場所 時間 作者 No.000 OP~導入 言峰綺礼 新都・冬木教会 不明 ◆.OpF6wOgZ2 No.001 No.1 天野雪輝&キャスター 不明 不明 ◆.OpF6wOgZ2 No.002 No.2 ゼフィール&ライダー 不明 不明 ◆YFw4OxIuOI No.003 No.3 衛宮士郎&セイバー 不明 不明 ◆.OpF6wOgZ2 No.004 No.4 鳴上悠&ランサー 不明 不明 ◆.OpF6wOgZ2 No.005 No.5 天海陸&セイバー 不明 不明 ◆2TIcBhEgoU No.006 No.6 枢木スザク&バーサーカー 不明 不明 ◆gsySw7SywU No.007 No.7 花村陽介&ランサー 不明 不明 ◆GIjwvg4JCY No.008 No.8 遠坂凛&キャスター 不明 不明 ◆BKUvL3qgtY No.009 No.9 鹿目まどか&アーチャー 不明 不明 ◆BKUvL3qgtY No.010 No.10 ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア&セイバー 不明 不明 ◆.OpF6wOgZ2 No.011 No.11 名無鉄之介&キャスター 不明 不明 ◆2TIcBhEgoU No.012 No.12 衛宮切嗣&ライダー 不明 不明 ◆gsySw7SywU No.013 No.13 園崎詩音&バーサーカー 不明 不明 ◆3Yo9gNrp3A No.014 No.14 金田一一&ライダー 不明 不明 ◆3gGiI31R5A No.015 No.15 近藤剣司&セイバー 不明 不明 ◆OktYLfxDLQ No.016 №.16 泉こなた&ライダー 不明 不明 ◆MoyrepToUg No.017 No.17 ジョン・バックス&アサシン 不明 不明 ◆qp1M9UH9gw No.018 No.18 間桐雁夜&アサシン 不明 不明 ◆FTrPA9Zlak No.019 No.19 匂宮出夢&アサシン 不明 不明 ◆mi8Ly4t1vU No.020 No.20 アシュヒト=リヒター&セイバー 不明 不明 ◆Mti19lYchg No.021 No.21 間桐慎二&ライダー 不明 不明 ◆BKUvL3qgtY No.022 No.22 羽瀬川小鳩&キャスター 不明 不明 ◆wG50kLoBJg No.023 No.23 イリヤスフィール・フォン・アインツベルン&ランサー 不明 不明 ◆MoyrepToUg No.024 No.24 金城優&セイバー 不明 不明 ◆tql.RyMUAo No.025 No.25 我妻由乃&アーチャー 不明 不明 ◆Mti19lYchg Interlude Cannibal Corpse ??? 不明 不明 ◆.OpF6wOgZ2 No.026 Night of The Round 衛宮士郎&セイバールルーシュ・ヴィ・ブリタニア&セイバー 深山町・衛宮邸前 深夜 ◆.OpF6wOgZ2 No.027 Cyclone 鹿目まどか&アーチャー園崎詩音&バーサーカー 新都・蝉菜マンション屋上 深夜 ◆YHOZlJfLqE No.028 ズッコケ二人組と一匹~聖杯戦争から脱出せよ~ 金田一一&ライダー 柳洞寺・本堂 深夜 ◆3gGiI31R5A No.029 初期不良 天野雪輝&キャスター鳴上悠&ランサー我妻由乃&アーチャー 深山町・海浜公園 深夜 ◆.OpF6wOgZ2 No.030 相棒と変身と聖者様がみてる 泉こなた&ライダー間桐雁夜&アサシン 深山町・商店街外れ・公園 深夜 ◆MoyrepToUg No.031 I m a liar 天海陸&セイバー 深山町・商店街 深夜 ◆.OpF6wOgZ2 No.032 全てを呑み込んで熱を帯びていく(前編)全てを呑み込んで熱を帯びていく(後編) 天野雪輝&キャスター我妻由乃&アーチャー花村陽介&ランサーアサシン(サブラク)言峰綺礼 新都・冬木教会 未明 ◆3gGiI31R5A No.033 生きているのなら英雄だって殺してみせる 鳴上悠&ランサーバーサーカー(ランスロット) 深山町・月海原学園 未明 ◆3gGiI31R5A No.034 騎士(奇死) 枢木スザク匂宮出夢 商店街・薬局内商店街路地裏 深夜 ◆ARbuQtVLig No.035 父と娘もしくは仇か宝 イリヤスフィール・フォン・アインツベルン&ランサー衛宮切嗣&ライダー 深山町・学園北西住宅街深山町・学園北東住宅街 深夜 ◆.OpF6wOgZ2 No.036 Beautiful dreamer? 花村陽介&ランサー名無鉄之介&キャスター言峰綺礼 新都・冬木教会 黎明 ◆2TIcBhEgoU No.037 La Danse Macabre(前編)La Danse Macabre(後編) 鹿目まどか&アーチャー園崎詩音&バーサーカーアサシン(ファニー・ヴァレンタイン)アシュヒト=リヒター&セイバー 新都・蝉菜マンション13階新都・駅前新都・蝉名マンション付近 未明 ◆.OpF6wOgZ2 No.038 和風唐揚げ弁当390円 近藤剣司&セイバー金城優&セイバー 新都・商店街 スーパー付近新都・商店街 未明 ◆oGrFx9n0uA No.039 神の座を目指す彼らの名を誰もが心に刻むまで ジョン・バックスゼフィール&ライダー 新都・冬木市庁舎(最上階廊下)新都・冬木市庁舎(応接室) 未明 ◆3gGiI31R5A No.040 FINAL DEAD LANCER(前編)FINAL DEAD LANCER(中編)FINAL DEAD LANCER(後編) 金田一一&ライダー衛宮士郎&セイバールルーシュ・ヴィ・ブリタニア&セイバーイリヤスフィール・フォン・アインツベルン&ランサー鳴上悠&ランサー 深山町・北部住宅街深山町・柳洞寺 黎明 ◆3gGiI31R5A No.041 Imagine Bleaker 羽瀬川小鳩&キャスター間桐慎二&ライダー 深山町・間桐邸 深夜 ◆ARbuQtVLig No.042 Anything Goes! 間桐雁夜&アサシン泉こなた&ライダー遠坂凛&キャスター 深山町・商店街外れ 公園付近 深夜 ◆FTrPA9Zlak No.043 Interlude トワイス・H・ピースマン 不明 不明 ◆.OpF6wOgZ2 No.044 Burning Ambition ゼフィール&ライダー 新都・冬木市ハイアットホテル 屋上 未明 ◆YFw4OxIuOI No.045 ナイト・オブ・ナイツ 枢木スザク&バーサーカー 深山町・商店街 月海原学園寄り 黎明 ◆eZ4BORPLU2 No.046 oath sign 枢木スザク&バーサーカー衛宮切嗣&ライダー鳴上悠&ランサー 深山町・北部住宅街深山町・衛宮邸 黎明 ◆oGrFx9n0uA No.047 いくつもの不運と幸運を重ねて 間桐慎二&ライダーキャスター(ゾルフ・J・キンブリー)枢木スザク&バーサーカー 深山町・民家 早朝 ◆3gGiI31R5A No.048 踏み越えた その先で 天海陸&セイバー泉こなた&ライダー遠坂凛 深山町・商店街 黎明 ◆oGrFx9n0uA No.049 Blade of Scar 衛宮士郎&セイバールルーシュ・ヴィ・ブリタニア&セイバー金田一一&ライダー 深山町・柳洞寺 早朝 ◆FTrPA9Zla No.050 Yes,I Can. ジョン・バックス&アサシン(ファニー・ヴァレンタイン) 新都・冬木センタービル 早朝 ◆Mti19lYchg 51~100話まで 101~最終話まで
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【英数字】【あ行】【か行】【さ行】【た行】【な行】【は行】【ま行】【や行】【ら行】【わ・を・ん】 【サーヴァント】 今更説明するまでもないが、聖杯戦争においてマスターが使役する唯一にして最強の従者。 ここでは主にベースとなったFate/Extraの設定に準拠で解説。 実在・架空を問わず、ムーンセルが人類史に存在する英雄を一時的に誇張・再現して召還した存在。 人類史を記録したムーンセルのデータベースから再現された英霊である。 その英雄またはマスターの特性に応じて、7つのクラス「セイバー」「ランサー」「アーチャー」「ライダー」「アサシン」「バーサーカー」「キャスター」のいずれかに据えられる。 基本的には召喚者であるマスターと何らかの縁がある英霊もしくは相性の良い英霊が選ばれるとされている。 二次二次においては(例外はあるが)予選を突破することで初めてサーヴァントを召還する事が出来る。 版権クロスオーバーということもあって、あらゆる漫画、アニメ、ゲーム等からキャラが召還されており非常にバラエティ豊か。 パロロワ常連から滅多に見かけないレアキャラまで人選は様々である。 尚ムーンセルの聖杯戦争がベースではあるもののエクストラスキルの存在も確認されており、 作中ではオルステッドが二重召還スキルによってアヴェンジャーとしてのスキルや宝具を備えている。 【裁定者】 聖杯戦争を管理する監督役。ルーラー(ジャンヌ・ダルク)、カレン・オルテンシアが該当する。 主な業務はNPCの保護、残り人数の通達、ルールを破ったチームに対する警告・処罰。 ただし処罰に関しては「啓示スキルを頼りにルーラー自ら現場に赴き状況を判断する」という傾向が強く、 違反の証拠を掴めず対応が出来ないという状況も確認されており参加者の動向を完璧には把握していない。 接触さえ出来れば聖杯戦争に関する質問も行える模様。 ルーラーは全てのサーヴァントに対する令呪を二つずつ所持しており、令呪による処罰を行うこともある。 カレンも令呪を所持しているが、ルーラーと同等の効果であるかは不明。 パロロワ風に言えば「進行役」なのだが、参加者に対して積極的な介入を行うという点で大きく異なる。 参加者達にもその存在は当然認知されており、裁定者による処罰を恐れて慎重に行動する者、 裁定者に関する考察を行う者、裁定者打倒を視野に入れる者など様々な動きを見せている。 裁定者の詳細な権限は聖杯側によって秘匿されている。尚、カレンはルーラーのマスターではない。 【参戦サーヴァントの傾向】 全体的に何故か邪悪。 反英雄要素を抱えるなど、やたら悪役じみたサーヴァントが多い。 主な例を挙げると 魔界の神の異名を持ち、地上界の消滅を目論む大魔王バーン ナチス残党でありロンドンを焦土に変えた戦争狂少佐 15年以上に渡り48人の女性を殺害してきた連続殺人鬼吉良吉影 扇動によって自らの手を汚さず幾つもの惑星を滅ぼしてきたベルク・カッツェ 箍の外れた愛の力で世界の理を変貌させてしまった暁美ほむら 無論まともな英雄も存在するが。 【サンドイッチ】 パンに肉や野菜等の具を挟んだり、乗せたりした料理のこと。 食べる際に食器や食卓などを必要とせず、手づかみで食べられる。 簡単に調理でき、携帯も容易。 工夫次第で栄養バランスも取れる。 などと言った理由から世界中でよく食され、この『方舟』でも重宝されている。 具体的にどのくらい重宝されているかというと 029[初陣]佐倉杏子 033[新しい朝が来た、戦争の朝だ]武智乙哉 034[既視の剣]岸波白野、エリザベート・バートリー 046[何万光年先のDream land]ホシノ・ルリ、ジャンヌ・ダルク 053[落とし穴の底はこんな世界]寒河江春紀 061[戦場に立つ英雄/台所という名の戦場]衛宮切嗣 076[衛宮とエミヤ]衛宮切嗣 078[aeriality]岸波白野、クー・フーリン 081[そして、もう誰にも頼らないのか?]吉良吉影 082[最初の使者]少佐(ホットドッグ) 58人中11人。実に、参加者の約2割がサンドイッチを食べている。 なお、サーヴァントは食事を必要としないことを改めて追記しておく。 【セイバー】 『剣士』のクラス。参戦数は三体。 高いステータスと対魔力が保証されることから最優のクラスと呼ばれる。聖杯戦争の花形サーヴァント。 その能力値からどんな状況にも対応できる万能さがウリとされている。 初代セイバーであり今や型月一のドル箱アイドルのアルトリアの原作での(諸々の制約による)苦戦続きから一時最優の称号が疑問視されていたが、他セイバーの数が増えるにつれその評価も改められ、相対的にアルトリアさんの名誉も守られるに至っている。 今回選ばれた三体のセイバーもいずれも劣らぬ強力な英霊で、現実での知名度も相応のものとなっている。 眩しいくらいの正統派勇者、その暗黒面ともいえる元勇者の魔王、そしておっぱいもとい最大出力なら随一のおっぱい聖人。 強いだけでは務まらないのが聖杯戦争とはいえ、単騎でも形勢をひっくり返せるような信頼感は流石の一言だろう。 【聖杯狙い】 参加者のスタンスの一つ。聖杯を手に入れるべく行動する方針のこと。対義語は対聖杯。 戦争に勝ち残ることが聖杯入手の条件なので、聖杯狙い=マーダーと考えて差し支え無い。 通常のパロロワと違う点は聖杯で願いを叶えるべく戦う決意をした者が多いということ。 願いを抱えていた為に方舟へ転送された者、自ら情報を集めてゴフェルの木片を入手した者などその経緯は様々。 何にせよ、聖杯狙いのスタンスを掲げる参加者は対聖杯に比べて圧倒的に多い。 積極的に攻撃を行うチーム、情報収集や様子見に徹するチーム、策謀を張り巡らすチームなど様々な動きを見せている。
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107 名前:隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM [sage 四日目・夜:血跡] 投稿日: 2007/01/18(木) 04 21 25 影がぶつかり合う。 一つは音にも迫らんばかりに一直線に空を駆ける。 対する一つは、耳障りな哄笑と狂気を散らしながら虚空にて待ちかまえる。 ……それは幾度となく繰り返された光景だ。 今現在切った札は互いに少なすぎる。 だが、それとて『空を飛ぶ』という一点でもって圧倒的なアドバンテージを有している。 クラスとして最優であるセイバー。 英霊であるその身をして、飛行するという力を持たぬ身である以上、虚実入り乱れる攻勢など不可能である。 その差をして拮抗しているという事実こそ奇妙。 バーサーカーは新たに札を切り、それをして攻めることは幾らでも可能なはずであった。 「くっ!」 セイバーはまたも一撃をいなされ、爪をその身に受けた。 だがその爪の先、腕を右手で掴み、腹部を狙う一撃。 半ば牽制ではあるが、無防備に受ければ肋骨を砕いて余りある威力だ。 その一撃を、セイバーの身体ごと回転して回避する。 バーサーカーは空中であることのアドバンテージを、これ以上無いほど生かしている。 その回転と同時、開いた左腕を突き出し、肩へ掌底を叩き込み、その反動を利用して再び足場へと戻る。 空中に、しかも足場から遠い場所に居る限り優位は動かないと認めたのは既に過去。 だから認めた段階で、作戦を変えた。 彼の『宝具』さえ使えばその状況も動くだろうが、消耗は極めて大きく、何よりこれ以上ないほどに目立つ、それこそ大地を、街を抉る光の剣が如く。 故にその使用は不可能。 そうであるが故に、バーサーカーが動いた瞬間こそが好機。 その瞬間を、息の殺して待ち続ける―― 「……よし」 少し不安ではあるが、相手も所持している以上、拳銃の攻撃性能は無視できるモノではない。 莫耶をベルトに挟み、拳銃を両手で構えて消え始めた足跡を追跡する。 勿論、罠の可能性もあるため警戒は必須だが、ただ体勢の立て直しのために逃げているのならここで倒さねばならない。 外の敵――バーサーカーと呼ばれていた――は紛れもない殺人鬼であり、そのマスターも確実に殺人を肯定し、それどころか罪があるのかと問うた。 そのような在り方であるが故に、衛宮士郎は、正義の味方を志す者はその在り方を否定しなければならない。 彼は人を犠牲にしない為に、戦っているのだから。 ビルを抉り取るように大きく開いた穴から先の部屋を覗き見て警戒する。 姿勢は出来るだけ低く、血痕を追跡する。 一つめ、二つめの部屋には特に何か置いてあることはなさそうだ。 血の跡を追い、続けて三つ目の部屋を覗き見る。 「……ん?」 部屋に血が広がっている。 溢れた跡と言うよりも、結果として溜まったような跡だ。 「後ろを警戒して立ち止まったのか? それとも何か……」 物陰から出て、血溜まりに触れる。 埃や破片で白く汚れているが、やはり乾いては居ない。 ふとその先を見る。 抉り取るような穴は変わらず、だが。 「血痕が、途切れている?」 突然すぎる出来事に、咄嗟の思考が追いつかない。 罠? だとすればこうして注目して動きが止まった段階で何かをされているはずだ。 周囲を見渡すが爆発物や細いワイヤーのような物は……ない。 「だとすれば……なんだ?」 バックトラック? いや、そうだったとしても血痕は残るだろうし、そんな元気があるならやはり攻撃をしてくるのではないだろうか? あの時使われた魔術は防御のみという事から、防御のみに特化しているという仮定の下で、さらに武器が無いとすればその疑問は解消できる。 「とはいえ、血の跡が消えたことの説明にはならないよな……いや、待てよ」 今夜の衛宮邸での戦いで、桜が腕に影を巻き付けて止血処理をしていた事を思い出す。 防御魔術の応用で、似たような事が出来るのか? 追撃を警戒しながら止血すると同時に、その処置の際に生じる自らの血の跡に注目させ、警戒させて距離を稼ぐ。 ……ありえるな。 強襲:そうはさせない、一気に追いかける 警戒:いや、そう考えさせるのも罠だとしたら? 投票結果 強襲 4 警戒 5 決定
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635 :隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM:2007/08/24(金) 04 13 42 「……エンジンを掛けても大丈夫ですか?」 逸る心のままにそう問うた。 その言葉が引き金になったのか、シャリフさんが堰を切ったように笑い出した。 その笑い振りは、見ていて清々しいほどで、思わず三人して見入ってしまった。 「ああ……面白かった、こんなに笑ったのは、ひょっとしたら初めてかもしれないわ、真面目そうな外見の割に抜けてるのね、『姉さん』て」 涙さえ浮かべて笑っていたのか、目元を軽く拭いながらシャリフさんが言った。 「……こんなところでエンジン回したら大問題よ、色々とね」 その言葉で思い出した。 Y2Kの排気ガスはとんでもなく高温だ。 有毒ガスとかそんなレベルの事はこの場合問題ではなく、可燃性の物体に引火して小火になりかねない。 実際土蔵の中身は木製の卓袱台だの藤ねえが持ってきて処分に困ったポスターだのが保管という名前で放置されている。 やったことはないがこんな物に600度を超えるガスが叩き付けたら多分即座に発火する。 「……ライダー、ここでエンジンを回すのは危ない、小火になる」 「そうでした……それにキーも差さっていませんね」 「キーはここよ」 そう言って、シャリフさんが手品のように肩口からキーを取り出す。 まるでそこに袋があるかのように、服の切れ目のような場所――だがそこには縫い目すらない――からだ。 「……今のは?」 手品の類ではないのは分かる。 「さあ、何かしら?」 誤魔化すように笑い、ライダーにキーを放り投げる。 それを無言のまま受け取り、ポケットに仕舞い込む。 「まあ、騒音の問題もありますから、遮音の結界を展開して貰わないといけませんね……まあスラストに比べれば静かでしょうが」 「……ライダー、それどう考えても比べる物間違ってる」 スラスト、正確に言えばスラストSSCはモンスターマシンと言うよりもモンスターそのものだ。 Y2Kはヘリのエンジンを搭載しているがスラストSSCは戦闘機のエンジンを二機も搭載しており、地上でマッハを公式に記録した代物だ。 そもそもあのマシンは明らかに『乗りこなす』とかそう言ったレベルの代物では無い。 読んだ雑誌には書かれていなかったが、あの直進振りから考えてみれば、左右に方向転換するためのハンドルすら無いのかもしれない。 「それじゃ、確かに渡したわよ」 それだけ言って、用件は済んだとばかりに踵を返す。 「衝動的に手に入れた物だけど……大事にしてくれると、嬉しい」 最後の方は消え入りそうな声だったけれど、それでも聞き取れた。 「ええ、勿論、大事にさせて貰います」 もしかしたら、彼女は感情表現が苦手なのかもしれない。 桜にもライダーにもそう言った面はあるし、桜に喚ばれた彼女も同じなのかもしれないと、ぼんやりと思った。 ぼんやりと眺めた背中は、土蔵の中からはもう見えなくなっていた。 「それじゃ、俺達も戻ろうか?」 「……そうしましょうか」 『結局私はなんで呼ばれたんでしょうか?』と言いたげな、釈然としない表情で桜が頷く。 ……この事を知っておいて欲しかったからなんだろうとは思うが、正しいかどうかは分からないのでそれは口にしない事にした。 「では私も少ししたら向かいます、二人はお先に」 剥がした布地を戻しながらライダーが笑う。 戻しながら車体を撫で回し、機体のラインを確かめているようで、その様子はいつになく浮かれている。 まあ、気持ちは良く分かる。 即座に諦めたとはいえ、乗り回したくて仕方の無かった機体だ、それが目の前にあって乗る気になればいつでも乗れるとなれば、そりゃ浮かれるのも当然だろう。 事実、握ったままの布地は掛けられることなく、もう片方の手で撫でたまま、目を潤ませて顔を赤らめている。 なんというか、その表情は物凄く色っぽい。 「……さあ、行きましょう」 ライダーの姿をじっと見ていたら桜に頬を抓られた。 なんというか、凄く痛かった。 印籠:居間に戻る ジェム:自室に戻る クラウン:縁側に座り込む
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877 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日: 2006/11/12(日) 03 20 17 「蒔寺」 出来る限り静かな、誰にも聞こえない声で話しかける。 「その……なんだ、お前に泣かれると……凄く困る」 何しろどう接して良いのか分からないのだ。 彼女はよく笑いよく遊び、様々な陽の面の体現者というイメージしかないのだから。 だから出来ることは、手に持つタオルを手渡すことだけだ。 「だからさ、泣くんじゃなくて、出来ればいつも笑っていてくれないか?」 「……な、泣いてねーやい」 言葉が聞こえたのか、返答が返り、タオルを受け取る。 声が少し裏返っている。 「それなら良いんだけどさ……」 タオルで顔を隠してしまって表情は読み取ることは出来ない。 「でも、ホントに泣きたかったら思い切り泣いた方が良いかもしれない、無理は良くないしな」 「……泣いてねーって言ってるだろ」 相変わらず声が裏返っている、でもその事には何も言うことは出来なかった。 「そうか……でも邪魔だったら言ってくれ、どっか行くから」 そこから先は無言。 背中合わせに座り込んだ。 そこに意味はなかった。 じっと見るのは憚られたし、どこかに行くのも憚られた。 だから出来るだけ近くで居ることを選択した。 「……なあ、衛宮」 先に無言を破ったのは蒔寺の方だった。 声は落ち着き、不気味なほどの静けさを感じさせた。 「無理は良くないって言ってたけどよ、無理してるのってお前の方じゃねーの?」 上を向いたのか、背中合わせのまま頭がぶつかる。 「……そうか?」 似たようなことを、最近よく聞かれると思う。 「今は違っても、親父さん死んじゃってさ、こんなデカイ家に一人で住んでたりとかしたんだろ? ……今くらいのトシならともかくさ、もっと、何年も前の子供の頃じゃんか、寂しくなかったのかよ? そりゃ私だって一人暮らしには憧れてるけどさ、そういう自分の意志とは違う意味で一人だったんだろ……どうなんだよその辺は」 「そうだな……多分、悲しかったけど、寂しくはなかったよ、俺、多分どこか壊れてるからさ」 そう、寂しくしている事なんかできなかった。 切嗣に拾われたとき、きっと沢山の衛宮士郎が死んで、生まれて、幸せに戻れた衛宮士郎は殆ど居なかったんだと思う。 だから、幸せで居られた衛宮士郎は幸せで、その幸運に感謝することしか出来なかったんだと思う。 だから、悲しいけれど、寂しいなんて事は思えなかった。 そんなことを話した。 その為に今、衛宮士郎は一人でも多く救いたいと、一人でも多くの笑顔を見たいと思っている。 これ以上の衛宮士郎を出さないために。 「……馬鹿野郎だな、お前ってさ」 「ああ、本当にそうかもな」 「ホントに馬鹿野郎だからな、一つだけ言うぞ? 一回だけだからよく聞けよ?」 「ん? ああ……」 「そう言うのは壊れてるとかじゃねーんだ、意固地ってんだよ! もっと前から、誰でも良いから少し位頼りにしろ! ガキに戻って覚えとけ!」 首筋に吐息と、ナニカが触れる。 振り返ると、蒔寺が、衛宮士郎の視界に映る限りの近さで微笑んでいた。 「それはサービスだ! 一回だけなんだからチョーシに乗ると今度は蹴るぞ?」 「ああ、蹴られるのは勘弁だな」 痛いし。 「よーし、それでよし、じゃ、また明日な! オヤスミッ!」 一気に立ち去る彼女に呆然として、続いて浮かんだのは笑み。 そして唐突に理解する。 ああ、そうか、衛宮士郎は正義の味方を目指していた。 だがそれは、一人で全てを救う事を意味していた。 一人で誰かを救う事が価値ある事じゃない。 誰かを救う事、それ自体に価値ある事なんだと、気がついた。 衛宮士郎は超人じゃない。 だから、みんなで全てを救う。 それが真実、衛宮士郎が目指すべき正義の味方なんだ。 桜は正義の味方になると言ってくれた。 だからまず自分と桜。 そして自分の知る沢山の人。 誰かを救えるならその人達に頼って、救う。 「そっか、俺は間違っていたってことなんだな」 立ち上がる。 よし、その為にも、頑張らなきゃいけないよな。 そろそろ晩の時刻が終わる、夜は近い。 あの時、イリヤを迎えに来た、『ヴェルナー』と呼ばれた男性は、少なくとも二組、この家を見張っている者が居ると言った。 襲撃があるとすれば、夜からだろう。 ならば―― モンス・コール:衛宮邸を見張れる場所はそう多くはないはずだ、遠坂達に打って出る事を提案する グラン・ルギド:防衛体制を固めるために衛宮邸周辺の状況を確認する ブルニーズ:土蔵で気を落ち着かせることにする セントラム:長期戦になった場合のことを考えて戦闘糧食の握り飯を作っておく
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282 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日: 2006/09/09(土) 02 59 39 ともあれ、シベリアトラの脅威は当面去ったと考えて良いだろう。 藤ねえの所に駆け寄る。 首、手首、脇下の動脈、確認……無傷。 続いて太股の動脈、脊椎、アキレス腱も確認する。 ……爪や牙による怪我の類は無さそうだし、頭を打ったりとかも無さそうだ、この調子なら神経の断裂の類も無いだろう。 だが、擦り傷は幾つもあり、手当とまでは行かなくとも消毒などは必要そうだった。 「ともあれ、致命傷の類はなかったか、良かった……」 一息ついて。 傷を確かめる時に藤ねえの服を思い切り脱がせていた事に気付いた。 「……ッ!」 服を戻す。 一度咳払いをした。 気絶したままである意味良かった、と思う。 「あー、桜、遠坂、風呂を沸かして藤ねえを入れてやってくれ、傷口を洗う必要もあるし、男がやったら問題があるだろう」 うん、その通りだ、昔はともかく、今はとっても問題だ。 うん、今のは別にやましい気持ちじゃないですヨ? だからそう言う目で見ないで、みんな。 「……ライダーはそのシベリアトラを宥めていてくれ、ルヴィアは夕飯を頼む」 「じゃ、私は何をしよう?」 「キャスターは……ルヴィアについてって台所から肉を取ってきてくれるか? それをライダーと一緒にその虎にあげてくれ」 焼けてないけど焼けてるステーキ(火を通した後中から取り出す)という超がつく贅沢な物に挑戦してみたかったのだが、仕方ない。 「分かりました、士郎はどうするのです?」 ライダーが虎に乗ったまま縁側に虎を連れて行く、本当に見事な物だと思う。 「うん、俺は布団と浴衣を用意しておくよ、藤ねえの部屋は風呂場のすぐ隣の部屋に用意しておくから、頼むな」 「はい、わかりました」 布団を敷き、ついでに人数分の浴衣を用意する。 それでも流石に風呂を用意し、気絶した人を全裸にし、かつ溺れさせないように風呂に入れると言うのには時間がかかるだろう。 ついでなのでキャスターの部屋も用意しておこう、和室は沢山残っているが、確か洋間も一つ残っていたはずだ。 キャスターにどちらが良いか聞いておこう。 「キャスター、お前の部屋なんだが、洋室と和室どっちが良い?」 「どっちでも良いですよー、あはは、やっぱりかわいいー、ライダーさん、ちょっと替わってー」 虎とじゃれている。 虎も嫌がることなくむしろ嬉しそうだった。 「じゃあ、居間の近くの部屋に用意しよう、その方が準備が楽だし」 キャスターの部屋となる部屋も簡単に掃除を行い、布団を敷く。 そんな事をしていると、三人が風呂から出てきたようだ。 「藤ねえの調子は?」 「ん、さっき気付いたけどさすがにフラフラね……」 藤ねえは二人の間で浴衣に着替えた姿でこちらを見ているが、かなり目が虚ろだ。 何かを話す気力も無さそうだったが、ともあれ部屋はすぐ近くにある。 寝かせる事を最優先にしよう。 「分かった、二人もご苦労さん、順番で風呂に入ってくれ、藤ねえは俺が部屋に運んでおくから。 ああ、それと風呂の事、他の三人にも伝えておいてくれると助かる」 「分かりました、それじゃまた後で」 「よっ、と」 布団に藤ねえを慎重に、掛け布団をかける。 用意しておいた冷茶を急須から茶碗に入れる。 「飲める? 藤ねえ」 「ごめんね、士郎」 不意に、そんな事を口にした。 「藤ねえ?」 「ん、勝手に家を荒らしちゃったし、庭も凄く散らかっちゃったし、お風呂にも入れて貰っちゃったし、その……怪我とか」 さっきの時の事を気付いていたのだろうか、藤ねえの顔が赤い。 「と、とりあえず、一杯飲むんだ、藤ねえ、水分補給という事で、な?」 二人の顔が赤い。 「ん、ありがとね、士郎」 少しだけ体を起こして、茶を飲む。 「と、とりあえず怪我とかは無いみたいだから、一回寝ておくと良いと思う、うん」 「ん、ありがとね、士郎、おやすみ〜」 目を瞑ると、すぐに寝息、熟睡したようだ。 余程疲労していたのだろう。 無理もない、生身で本物のシベリアトラを相手にしていたのだから。 とりあえず藤ねえが無事でなにより、これからどうしようか。 ふ:キャスターと少し話をしよう、色々聞いておく事もあるし じ:桜と話をしよう、昼間の料理の事もあるし む:遠坂と相談したい事がある、今夜のうちにしてしまおう ら:ルヴィアは今日の戦いが初めてだったはずだ、大丈夫か確認しよう た:ライダーと話をしよう、何だかんだ言っても今日の怪我は軽い物ではなかったはずだ い:シベリアトラの様子を見ておこう、また暴れたら大変だ が:……藤ねえが心配だ、もう少し一緒にいよう
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キャラシート【としあきの聖杯戦争TRPG】 泥 名前 ブリジット・メイア・ウィンザー・ライジェル 英名表記 Bridget Meir Windsor Rigel 誕生日・年齢 11月11日・16歳 身長・体重 159cm・45kg 血液型 A型 好きなもの 王道、紅茶 苦手なもの 卑劣な手段や策謀、カレー 特技 降霊術 起源 王道 属性 秩序・善 魔術属性 水・風・土 魔術系統 降霊術、召喚術、元素変換魔術など 魔術特性 支配 魔術回路 質:A / 量:C/ 編成:正常 略歴 現英国王室・ウィンザー家の傍流にあたる家系・ライジェルの若き当主。 父であるグレゴリー・ライジェルは多方面に優れ有力な当主であったが、朋友であった同盟家の裏切りを受け派閥争いに敗北。 その過程で呪殺された父の跡を継ぎ、弱冠14歳で当主の座に就く。 グレゴリーの優れた手腕を完璧以上に受け継いだブリジットは侮られる中でその才能を如何なく発揮。 僅か2年で傾いていた勢力図を塗り替え、元同盟家や敵対勢力を退け、再び元の地位へと返り咲いた。 その際に王家から「ウィンザー」姓を名乗る事を許され、彼女の代からその名前を採択している。 英国政府より「率爾発生特異点夢覚処方機関」――通称デスペルタドールによる、夢界事象への対応を要請され、第三夢界調査に際して同組織に合流する。 聖杯戦争儀式についての知識は有しており、セイバーを召喚し事態の解決にあたる。 人物 白いドレスの様な装束に身を包んだ、容姿の上ではまだ幼さの残る少女。 プラチナブロンドの髪をショートカットに切り揃え、透き通る乳白色の肌をあまり露出しないよう金縁刺繍のローブを纏っている。 家督継承後の手腕を「必要とはいえ汚い手段にも頼った故の恥」と認識し、君臨する者の責務として潔白且つ気高くあることを誇るなど、 その精神性は正しく高貴なる者(ノブリス)を体現している。 事実ブリジットは「王」としての素質を持って生まれ、知識や経験を積むにつれ上に立つ者として成長している。 とはいえ、ブリジット自身は王や統治者になりたいわけではなく、その精神性と環境がどうしようもなく王道であるだけ。 本人は寧ろ魔術師として大成したいのだが、能力はともかくその清廉さが災いして今以上に進まない事に悩んでいる。 但し自身の立場とそれに伴う責務は正しく自覚しているため、持ち得る権利と義務を正当に振るう事を心掛けている。 同時に「人の上に人あらば、それは機構として機能してはならない」という自論を持っており、「国の為の王」という在り方を嫌う。 王が王たるには民の為に在り、民無くして成立する国は無い。然し王もまた、その国に根付く民である。 故に彼女は一方的に非ず、その恩恵の流動をこそ大事にした義務の在り方を提唱している。 +人間関係 人間関係 セイバー デスペルダドールの特殊事象対策として召喚したサーヴァント。雷鳴の皇帝の腹心、当代最強の軍人皇帝。 能力 様々な系統の魔術を修めているが、特に降霊術に秀でている。 ライジェルの降霊術は通常の基盤に加え元素変換の延長線上にもあり、パラケルススの提示した四大精霊(エレメンタル)に関係している。 ブリジットはその中でも水の精霊ウンディーネと相性がよく、精霊の欠けた魂を補う事で自身に憑依させ、その力を借り受けることが可能。 これにより真エーテルを解き明かすことがライジェルの命題の一つでもあり、根源へのアプローチの一手段となっている。 魔術戦闘においては空気中の水分子に作用し、収束した水泡を急激に熱し水蒸気爆発を引き起こす『泡沫のクワイア』を主軸にする。 起源覚醒者ではないものの、その絶大な在り方は存在としての性質に大きく引っ張られている一例と言える。 事実ブリジット自身も自らの在り方を止める事ができないのか、魔術の研鑽という目的との両立に苦心している。 逆にその過程で手に入れた知識は豊富であり、各地の伝承や土着信仰に由来する魔術など比較的マイナーなモノについても知っている。 +主な魔術 主な魔術 『泡沫のクワイア』 「魔術師の本分は戦闘ではない。ですが、そうなる事を想定出来なければただの愚者です」 彼女の魔術戦における戦闘スタイル、及びライジェルの降霊術を用いた術式の名称。 空気中の水分子をウンディーネの力で操作し、急激な熱負荷を掛けることで水蒸気爆発を引き起こす。 魔術により引き起こされるが、水蒸気爆発そのものは物理現象であるため抗魔術などは意味を為さない。 純粋な火力もかなり高らしく、後先を顧みない最大出力であればカトラ山の噴火に匹敵するとも。 『剣たる騎士の叙勲(ナイト・オブ・オーダー)』 「――汝の身は我の元へ、我が命運は汝の剣へ。その使命、ヒトの世の現身として真理を守る防人となれ!」 聖杯戦争において、ブリジットが英霊召喚後に行う儀式魔術。 英国王家の宝器『慈悲の剣(カーテナ)』を投影し、騎士叙勲を模した儀式を行うことでサーヴァントとの相性を概念的に補強する。 サーヴァント側は一部能力値や魔力効率の上昇、ブリジットは令呪の強制力増加や指示の円滑化などの恩恵を得られる。 ブリジットとサーヴァント双方の承認が必要だが、無理強いをする気はないため最終的にはサーヴァント次第。 また、この『慈悲の剣』はあくまで形と最低限の性質のみを持たせた投影品であり、儀式礼装として以外の使用には向かない。
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いくつもの不運と幸運を重ねて 時は待たない。 全ての者に平等に結末を運んでくる。 電子世界の冬木市に僅かに陽の光が差しはじめた頃、枢木スザクは小鳥の囀りで目を覚ました。 「……夜が明けてきたのか。 本当に現実と変わらない世界なんだな、ここは」 大して疲労の抜けていない身体を起こし、スザクは先ほど潜り込んだこの家を物色し始めた。 本来ならもっと睡眠を摂るべきなのだが、昨夜の激戦のせいかはたまたバーサーカーへの魔力供給のせいか、強い空腹感に苛まれていた。 それに一度目が覚めてしまったせいか、腹を満たしたとしてもすぐには眠れそうにもなかった。 そこでまずは食糧を探すことにした。 食糧はすぐに見つかった。 何しろここは普通の民家、台所を探せば食べ物が見つかるのは当たり前の道理だった。 スザクはいくつかの菓子パンとバナナ、そして牛乳を選び取ると自分でも驚くほどのスピードでそれらを貪った。 そうしていくらか空腹を満たした後、今後の戦略を考えることにした。 やはり目下最大の敵は他二人のマスターと共に柳洞寺に立て篭っているルルーシュだ。 ランサーの言によれば柳洞寺は自然のマナが集まる霊脈であり、サーヴァントの回復には最適の場所であるらしい。 おまけに周辺には霊的な結界まであり、正面以外から侵入したサーヴァントは能力値を軒並み低下させられてしまうらしい。 まさに攻めるに難く守るに易い要衝の地。早々にそのような場所に目をつけさらには二人のマスターを抱き込んだルルーシュの手腕は流石と言う他無いだろう。 加えてそこに集うサーヴァントも粒揃いだ。 バーサーカーと同じ円卓の騎士であるガウェイン、そして彼ら円卓を従え十二の会戦に勝利し、かつてのブリテンに繁栄を齎したアーサー王。 また、宝具を無効化する宝具、太極図を備えたライダー。 太極図というありふれた単語だけでは真名を完全に絞り込むことはできないが、ランサーから聞いた中華風の装いと併せて考えれば中華系、それも宝具の性能から察するに神話の人物であることは疑いない。 最後の決め手は鳴上悠がマスターとしての透視能力で見たという軍略のスキル。 これら全てに該当し得る人物は多くはない。 その中で最も知名度と可能性が高い人物と言えば世間では釣り人の代名詞として知られる周の軍師・太公望だろう。 いずれも神話のメジャー級の英傑ばかりであり、まともに戦えば苦戦どころでは済まされない。 「そうだとしても、時間を掛けすぎるわけにはいかないか…」 しかしルルーシュをよく知るスザクは例え拙速と言われても可能な限り早期に柳洞寺を攻めるべきではないかと考えていた。 確かにルルーシュの頭脳とギアスは脅威だ。 だが彼とて無から有を生み出せるわけではないのだ。 故に、ルルーシュが準備を完全なものにする前ならば決して倒せないことはないはずだ。 逆に言えば、時間はスザクにとっての敵でありルルーシュにとっての味方なのだ。 それにサーヴァントの戦力でも大きく劣っているとは思わない。 自身のサーヴァント、ランスロットは言うに及ばず鳴上悠のサーヴァント、クー・フーリンも円卓の騎士に勝るとも劣らぬ大英雄だ。 もう一人の同盟相手である衛宮切嗣のライダーだけがやや未知数な面が強いのがネックといえばネックだが。 「そしてもうひとつ、衛宮切嗣と鳴上悠のどちらを残すか……」 当たり前だが、最終的には優勝を目指す以上柳洞寺攻略後のことも見据えなければならない。 そして衛宮切嗣と鳴上悠の間に(理由はわからないが)因縁がある以上この三者同盟はそう長続きしないだろうことは想像に難くない。 柳洞寺に篭った三組のマスター達という共通の敵がいるからこそ辛うじて成立している同盟であることをスザクは正しく理解していた。 そうである以上、柳洞寺を攻略した後は両者を天秤にかけてどちらかを切り捨てる必要が出てくるだろう。 「…やはり、より危険なのは衛宮切嗣の方だろうな」 スザクが見た限り衛宮切嗣という男からは人殺しのプロ、有り体に言えば暗殺者のような雰囲気が感じられた。踏んだ場数も向こうの方が遥かに上だろう。 先ほどの戦闘とその後の交渉でまんまと出し抜けたのはひとえに戦闘中に乱入し、奇襲をかける事によって多大なアドバンテージを得られたからに他ならない。 幸いバーサーカーは衛宮切嗣のライダーに対しては相性が良いようだが戦闘中のやり取りから察するにライダーにはバーサーカーすら打倒し得る切り札が存在する可能性がある。 何より衛宮切嗣はステータスと宝具が隠蔽されている筈のバーサーカーの能力を何故か以前から知っていた節がある。これは断じて看過して良い問題ではない。 先ほどは鳴上悠の首を献上すると言ったが、あんなものは交渉をスムーズに進めるための方便だ。 あちらもそこまで本気にしてはいないだろう。 対して鳴上悠はマスターとしては反則的なまでに万能かつ強力な術(ペルソナと言うらしい。心理学用語のペルソナと関係があるのだろうか?)を持つ反面、人間同士の殺し合いには慣れていないように見受けられた。 むしろ、どこにでもいる普通の学生と言った方が違和感が無いぐらいだ。 御しやすさという点で言えば衛宮切嗣よりもずっと楽な相手だといえる。 事実先ほどは生殺与奪を握っていたとはいえあっさりとこちらの望む条件を呑ませることができた。 今はペルソナを使えなくなっているようだが、当面戦力的にはランサー(魔力供給の途絶は一時的なものだったらしい)が加わるだけでも十分だ。 むしろ最終的には死んでもらうことを考えればずっとペルソナを使えないままで良いとすら思っている。 何よりも彼らは令呪で丸二日間こちらに攻撃できない状態にある。これを活かさない手はない。 「決まりだな。衛宮切嗣には早々に消えてもらった方が良い」 呟きながら今後の方針を固めていく。 体力が回復次第柳洞寺に攻め入る。最優先目標はルルーシュの殺害とバーサーカーの足の傷の治癒だ。 そしてその段階で上手くライダーを消耗させ、鳴上悠と共謀して衛宮切嗣を葬る。 彼からすれば衛宮切嗣は相性の悪い相手だ。謀殺を提案すれば喜んで乗ってくることだろう。 その後は令呪の効果が切れるまでは鳴上悠との同盟を維持する。 大雑把だがこんなところで当座は問題ないだろう。 戦場では何が起こるかわからない以上、細かい部分は臨機応変に対応せざるを得ないだろうがそれは仕方ない。 頭の中で今描いたシナリオを反芻しつつ、再びスザクは休息しようとしていた。 だが、彼はもう少しだけ慎重になるべきだったのかもしれない。 聖杯戦争を勝ち抜くためのシナリオを描いているのは何もスザクだけではないのだから。 「っ!?」 突如、地震のような揺れと大気が震えるような感覚に襲われた。 何が起こったのか確認しようと外に出ようとした瞬間、凄まじいまでの轟音とともに玄関が破壊され、大量の破片やガレキがスザクを襲った。 「……?」 だが、予想に反してスザク自身には何の痛みも衝撃もやって来ることはなかった。 実体化したバーサーカーがその身と支配下に置いたドラグブラッカーを盾にしてスザクを守ったのだ。 その動きはただの理性を失った獣では有り得ない、主君、いや、友を守るための騎士のそれだった。 「…ありがとう、バーサーカー」 感謝の言葉を口にして、前方を睨む。 そこには、自分達を襲撃してきたであろう巨大な馬に跨った巨漢の姿があった。 巨漢は馬から降りると宝具だったのであろうそれの実体化を解き、威風堂々と立ちはだかってきた。 そしてその後ろから、マスターと思しき海藻のような頭髪の少年が現れた。 遡ること数時間前、間桐慎二は大いに困惑していた。 「…は?月海原学園?」 自宅で羽瀬川小鳩との“お楽しみ”に時間を費やした後、ライダーとキャスターを引き連れて獲物を探しに夜の深山町に繰り出した彼が遠目に見たのは普段通っている穂群原学園とは似て非なる形の校舎だった。 何事かと思い立ち寄ってみると、そこには穂群原学園は影も形もなく、代わりに月海原学園なる学校があった。 「な、何なんだよこれ?」 例え聖杯戦争だとしてもあまりに予想外すぎる事態にしばらく立ち尽くしていたが、意を決して中に入っていった。 サーヴァントを二騎従えているという事実が慎二を強気にしていたのだ。 何故か開かれていた校門から中に入ると荒らされたグラウンドと窓ガラスが割れ、外壁のあちこちが削られた校舎が見えた。 既に新たな聖杯戦争が始まっていることを改めて実感する光景だった。 そして驚くべきことに校舎に入ると数人の生徒らしき者がいた。 「おい、そこの奴!ここは本当は穂群原学園なんだ。 どこの魔術師だか知らないけどこの冬木でちょっと勝手が過ぎるんじゃないか?」 慎二が八つ当たりの対象に選んだのは休憩時間を利用して購買にお菓子を買いに行っていた図書室受付の間目智識だった。 彼女はどこか困ったような調子で慎二にとって信じ難い事実を口にした。 「君、確か間桐慎二君だよね? えーっと、すごく言いにくいんだけどここって地上の冬木市じゃなくてムーンセルで再現したバーチャルな冬木市なんだよね」 「は?なんだよそれ。 いい加減なこと言って誤魔化そうとしてるんじゃないだろうな?」 「いや、嘘なんかついてないから! だって君、地上の聖杯戦争で一度殺されたのにちゃんとこうしていられてるでしょ?」 「っ!?な、何だよお前、何でそんなこと知ってるんだよ!? ~~~!!くそっ、わかったよ、いいからまずは説明してみろよ! 嘘をついてたら、ライダーとキャスターにこの学校ごとぶっ壊させるからな!!」 聖杯戦争の当事者でもない限り知り得ない事実を知っている事に加え、自分がここで生きている理由を知っていそうなこの少女をすぐに殺すのは不味い。 そう考えた慎二は持てる理性を総動員して癇癪を抑え、話しを聞くことにした。 実のところ彼も死んだ筈の自分が生きている理由が気になってはいた。 死人を完全に生き返らせるなどそれこそ魔法の領域だ。 それにこの場所に来るまでにも(意図的に無視していたが)小さな違和感はいくつもあった。 如何にサーヴァントを従えていたとはいえ無断で魔術師の工房に侵入した非力な小娘相手に何もせず、姿も見せなかった祖父・間桐臓硯。 同じく所在の知れない義妹・間桐桜。 さらに蟲の一匹もいない異様な蟲倉。 それらの事実が慎二に辛うじて冷静さを保たせたのだ。 「……とまあ、大体こんなところかな?」 間目智識は語った。 ムーンセルの成り立ちやその機能、参加者に話しても問題ない範囲でのこの聖杯戦争の詳細なルールや性質などを。 「じ、じゃあ何か? 今ここにいる僕はただの再現されたデータだっていうのか?」 世間で言うところの遊び人である慎二は他の魔術師と違い、ある程度は機械やPCへの知識と理解があった。 だからこそムーンセルに関する説明も理解はできたのだが、それは別の困惑を生んだ。 人間一人のデータを丸ごと再現するなど尋常な事ではない。それこそ聖杯でもなければ到底成し得ないことだ。 いや、それを言えば街ひとつをそのまま再現するのもそれ以上の超越的な技術なのだが今の慎二にそこまで気を回す余裕はなかった。 「事実だけを言えばそうなっちゃうね。 でもそれは他のどのマスターも同じだよ。 現実世界に肉体があるか無いかっていう違いはあるけどね」 「……!!おい、ライダー!! そんな大事な事を何で僕に黙ってた!?」 怒鳴りつけた慎二の横に憮然とした表情のライダーが実体化した。 「貴様とて聞こうとはしなかっただろう。 経験者の貴様の意を汲んだまでよ」 その言葉には明らかに先ほど令呪を使われた事に対する意趣返しの念が含まれていた。 だが慎二はそんなことなど棚に上げて苛立ちを募らせていく。 「この大馬鹿野郎!! マスターにこんな基本的な事も伝えないサーヴァントがあるか!! お前本当に勝つ気があるのかよ!?ええっ!? 大したサーヴァント様だよ、まったく!!」 令呪の強制力が働いているのを良いことにこれまでこのサーヴァントにコケにされてきた鬱憤を罵声に変えて晴らしていく。 前回の聖杯戦争で自身の(正確には桜の)サーヴァントの忠告を全く聞き入れなかった彼がこんなことを言う資格はないのだが、今この場に限っては正論であるともいえた。 慎二の口が更なる罵声を紡ぎ出そうとしたその瞬間、それはやってきた。 まるで昼夜が逆転したかのような強烈な閃光と何かがぶつかり合ったような轟音、そして学園内の全ての窓ガラスを割るほどの凄まじい地震と衝撃波が襲いかかってきたのだ。 ライダーが渋々身体を張って盾になったため傷こそ無かったが衝撃によって慎二は無様にも床に寝転がる羽目になった。 「な、何だ今のは…。 そ、そうだ、あれはまるであの時の……」 そんな慎二の脳裏に浮かんだのはまだ真新しい記憶。 自らのサーヴァント・メドゥーサが敵サーヴァントの放った宝具の光の奔流の中に消えていった敗戦の瞬間だった。 それを漸く思い出した慎二の身体から急速に血の気が引いていった。 そう、いくら今回の自分のサーヴァント・ライダーのスペックが優れていようとあれほどの宝具を使われては耐えられるはずがない。 キャスターを屈服させた程度で自分は一体何を調子に乗っていたのだろうか。 (か、勝てるのか…?生き延びられるのか、僕は……?) ここに来て初めて強い不安に駆られた慎二に更なる追い討ちが待っていた。 「あ、新しい脱落者の名前が出たみたい」 同じく咄嗟にライダーの後ろに隠れて難を逃れた間目智識の言葉で掲示板(今まで気がつかなかった)の方を向いた慎二の視界に信じ難い名前が映った。 脱落者 天野雪輝 我妻由乃 イリヤスフィール・フォン・アインツベルン 正直に言って上の二人の有象無象のマスターはどうでもいい。 慎二の目を引いたのは三番目の名前、始まりの御三家の一角にして自分を一度殺したあの強力無比なバーサーカーのマスター、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンだった。 「そ、そんな馬鹿な…。 始まってからまだ半日だって経っちゃいないんだぞ。 なのにアインツベルンが、あのバーサーカーのマスターがこんなにあっさり…?」 その事実は慎二の中の死への恐怖を再燃させるには充分すぎた。 あのマスターを殺したのが今さっき炸裂した宝具であったならばまだ良い。 だがもしもそれ以外のまだ見ぬサーヴァントの手によるものだったとしたらどうする。 イリヤスフィールの名前しか追加されなかったということはそいつを倒したマスターとサーヴァントは未だ健在ということだ。 そんな危険な連中を向こうに回してどうして生き残れるというのか。 「や、やっぱり僕は死ぬんだ…。 もう駄目だ、おしまいだぁ……」 その場に蹲って嫌だ、死にたくないとうわ言のように呟きはじめた。 「うろたえるな、小僧!!!!」 そんな慎二にライダーの容赦ない叱責が飛んだ。 不甲斐なさすぎるマスターに苛立ちが頂点に達したライダーの大音声は、結果としては慎二にいくばくかの冷静さを取り戻させた。 「貴様は誰を従えていると思っている!! この拳王を召喚しておきながらそのような無様を晒すなど…恥を知れい!!!」 「な、何だよ…。 何偉そうなこと言ってんだよ。 お前状況わかってんのかよ!? あんな危険な宝具を持ってる連中と戦って勝ち抜けると思ってるのかよ!? お前だってたった今見たとこだろ!」 「愚問だ。 甚だ不本意だがこの拳王の名にかけて貴様を聖杯の頂きまで連れていってやろう」 有無を言わさぬ断固とした口調で告げるライダーに慎二は不覚にも多少の頼もしさを覚えた。 彼の前のサーヴァントは従順ではあったが勝利を約束することはしなかった。 否、勝利そのものに対して執着が無いようにも見えた。 だからこそ、憚ることもなく勝利を断言するこのサーヴァントが眩しく映った。 「ライダー、お前……」 ライダーに何かを言おうとしたところでまたしても騒音が響いてきた。 先ほどよりも遠くから聞こえた音に慎二は今度こそ冷静な判断を下すことができた。 「よし、まずは様子を見るぞ、もちろん一番安全な場所からな」 そして時間は現在へ戻る。 突如として敵マスターとサーヴァントの奇襲を受けたスザクは必死で事態を好転させるべく頭を回転させていた。 今の自分達は激戦を越えたばかりであり、はっきり言ってまともに戦える状態ではない。 となれば取り得る手段は一つしか有り得ない。 「待ってくれ!」 「何だよ?命乞いか?」 妙に自信満々な相手の様子を怪訝に思いながらもスザクは言葉を紡いでいく。 ここで戦うわけにはいかないのだ。 「そうじゃない、君は知らないかもしれないがこの聖杯戦争は単独で戦い抜けるほど甘いものじゃない。 現に今柳洞寺には三組のマスターが籠城しているし、僕自身も二人のマスターと同盟を結んでいる。 ここで僕らが潰し合うのはどう考えても得策じゃない。 むしろ、ここは一時でも手を組んで柳洞寺を攻めて後顧の憂いを絶つべきだ」 提供しても構わない情報を小出しにしつつ交渉を試みる。 柳洞寺にいるマスター達の存在を考えれば衛宮切嗣や鳴上悠もここでスザクが脱落することを望まないはずだ。 この交渉が上手くいかなくても彼らが救援に来るまでの時間を稼げば良い。 あの二人、特に衛宮切嗣に対しては弱みを見せたくはないが背に腹は代えられない。 「へえ、それは確かに人手が要りそうだ。 手を組む必要もあるかもね。 その上で聞くけど、僕とお前が対等な関係である必要がどこにあるわけ?」 だが、相手のマスターはまるで耳を貸す様子がない。 こちらの言うことを信じていないわけではないようだが、だとすればこの不可解なまでの自信は何なのだろうか。 考えを巡らせる暇も与えぬとばかりに海藻頭の少年はサーヴァントに顎で合図し、それと同時に敵サーヴァント――恐らくライダー――が凄まじい威圧感を放ちながら突進してきた。 バーサーカーはすかさず黒龍ドラグブラッカーと共にライダーを叩き潰すべく迎撃を試みる。 ランサーや元の持ち主であるライダーをも叩き伏せた黒龍の性能は断じて伊達ではない。 だが、その選択は拳王ラオウに対してはこの上ない愚策と呼ぶ他なかった。 「そのような木偶でこの拳王と対等に戦おうなど…笑止!!」 そう言うやライダーは右掌に魔力、いや、気を溜めていく。 そして、迫るドラグブラッカーに真正面から激烈な気を放った。 「北斗剛掌波!!!」 周囲を揺るがす爆音とともにドラグブラッカーの巨体が大きく揺れた。 騎手であるバーサーカーが必死に制御しようとするも、多大なダメージを受けた黒龍は人間でいうところの棒立ちに近い状態に陥った。 「砕けよ!!」 その隙を見逃さずライダーの剛拳がドラグブラッカーを直撃し、その身体を粉砕した。 拳王ラオウの全身全霊の拳はその一撃一撃が平均的な対人宝具にも匹敵する。 魔力の塵となって消えていく黒龍を他所にバーサーカーはすぐ後ろに着地して難を逃れたが戦力の大幅な低下は免れなかった。 (不味い!!) 今の一連の攻防からスザクは目の前のライダーとバーサーカーが極めて相性が悪いことを痛感した。 あのライダーは武具という武具を用いない、武術でもって戦うサーヴァントだ。 バーサーカーが奪える武器が無いのでは真正面からの戦いを強いられることになる。 しかもこのライダーは相当な実力者だ。 もしもバーサーカーが切り札“無毀なる湖光(アロンダイト)”を使える程度まで回復していたのなら足の傷を考慮しても互角以上の戦いができただろう。 だが現実にはバーサーカーは先ほどの一戦で貯蔵魔力の大半を消耗していた。 無理を押して両腕を修復して衛宮切嗣と鳴上悠らの戦闘に介入したことがここに来て裏目に出た。 さらに、ランサーの“刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)”を防御した時に受けたダメージも未だ癒えていない。 如何に身体の限界を超えて戦えるバーサーカーといえども体力も気力も魔力も尽きた状態でまともな戦いなど出来るわけがない。 スザクのその考えを裏付けるようにバーサーカーはライダー相手に防戦を余儀なくされていた。 その場に転がっていた角材を即席の宝具にして凌いでいるが、ライダーの拳を受ける度に宝具としての神秘を付与された筈のそれが軋みをあげ、バーサーカー自身にも確実にダメージが蓄積していった。 このままでは決壊は時間の問題だ。 (ならば打つ手はひとつだ……!) 「ハハ、ハハハハハハハハ!! 凄い、凄いじゃないかライダー!! 流石は僕のサーヴァントだ!!」 そう、熱に浮かされたように騒いでいるあの少年をスザク自身が仕留めることだ。 見たところ、戦闘の心得があるようには見えない。 (その油断が命取りだよ) 幾度目かもわからないライダーとバーサーカーの激突。 その間隙を縫ってスザクは駆けた。 普通の人間の限界を完全に超越した動きで少年、間桐慎二に迫る。 「ハッ、引っかかったなバーカ!」 猛烈なスピードで突進してくるスザクを嘲笑する少年の背後から何者かが現れスザクを殴りつけ、瞬く間に組み伏せた。 「ぐっ…!ま、まさかそんな……!?」 スザクが驚くのも無理はない。 突然現れたその男は明らかに人間とは異なる気配、即ちサーヴァントとしての気配を纏っていたからだ。 スザクは知らないことだが、そのサーヴァントこそキャスターとして招かれたゾルフ・J・キンブリーだった。 「ハハッ!無様だね。ああ、言っておくけどアテにしてる同盟相手の援軍なら来ないぜ?」 「なっ!?ど、どうして…」 動揺を露わにしたスザクの顔を見た少年は何かの確信を得たかのようにニヤリと笑った。 即座にしまったと気付いたがもう遅い、少年はカマをかけていたのだ。 (迂闊だった…!さっきの戦いは見られていたんだ!) 「大体さあ、ちょっと考えればわかるだろ? これは聖杯戦争だぜ?いくら同盟してるからって競争相手には違いないんだ。 そんな奴のピンチに駆けつけるような物好きがそうそういるわけないだろ。 ましてあんなやり方で介入したんじゃ尚更さ」 得意気に自らの推理を語る少年に返す言葉をスザクは持たなかった。 衛宮切嗣と鳴上悠の思惑は分からないが今もって彼らがスザクを助けに来ていないことはどうしようもない事実だからだ。 「ともあれ勝負ありって奴だ。 おいキャスター、死なない程度に痛めつけてやれ。 そいつとサーヴァントには使い道があるからね」 「…ええ、わかっていますとも」 「……!!」 キャスターはまずスザクの残された右腕をへし折った。 そして両足に手を添えた次の瞬間、スザクの両膝に小型の爆弾が出現した。 「なっ…!?」 その直後スザクの両足は爆ぜ、膝から先の部分が永遠に失われることとなった。 その激痛たるや、スザクの人生においても経験したことのない例えようのないものだった。 「ぁ、ぐああああああああああああああああああぁぁぁっ!!!!」 「あははははは!!こりゃ傑作だ!! さあて、お前に選択肢をやるよ。 ここでキャスターに体中を爆破されて死ぬかサーヴァントを差し出して生き延びるかという素敵な選択肢をね」 「だ、誰、が……!!」 下衆な笑いを浮かべながら見下してくる少年を渾身の力を込めて睨み返す。 例えここで死ぬとしても戦友と認め合った者を売り渡すわけにはいかない。 そう固く心に誓い、歯を食いしばる。 だが、世界がスザクの意思を聞き届ける理由はどこにもない。 いや、それは裏切りに塗れた人生を歩んできた彼への罰だったのかもしれない。 枢木スザクには既に誇りある死を選ぶ事すら許されない。 ――――生きろ (……!?) 突如頭の中に響いた命令(ギアス)。 慎二の提案を拒めば即座に死を免れないこの状況においてその呪いはスザクに最も恥ずべき言葉を選ばせた。 「ああ、わかった」 「へえ、物わかりが良いじゃないか。 ってお前、もう令呪を一画使ってるのかよ。 まあ良いさ、お前はサーヴァントにこう言うんだ」 スザクの赤く染まった瞳に気付かぬまま気を良くした慎二は令呪の使用を促した。 その指示に従って、スザクの口は禁断の言葉を紡ぎ出した。 「間桐慎二及びラオウに命令された事柄を除く一切の行動を永久に禁じる」 その瞬間、戦闘中のバーサーカーの動きがピタリと止まった。 対魔力の低い彼に令呪の強制力に抗う術などありはしないのだ。 見覚えのある光景にライダーは恨みがましい表情で慎二を睨んだ。 「…貴様、またか」 「怒るなよ、これは立派な戦略ってやつさ。 むしろ感謝したって良いんじゃないか? これから先お前が直接戦うに値しない雑魚はみんなキャスターとバーサーカーが片付けてくれるんだからさ」 「…ふん」 「……俺…は…何を……」 慎二とライダーが話し込む中、スザクの心は途方もない絶望に支配されていた。 せっかくバーサーカーと分かり合えた筈だった。 ここから自分たちの聖杯戦争が始まる筈だった。 それなのに聖杯への道をたった今、自ら断ち切ってしまった。 これから先聖杯戦争を勝ち抜くなどもう不可能だ。 これが父を刺し、旧友を皇帝に売り渡した自分への報いだとでもいうのか。 こみ上げる悔し涙を抑えることができなかった。 (何故だ…ルルーシュ、俺はどこで間違えてしまったんだ? もし君ならこんな逆境も覆せたのか……?) 神の視点から言えばこの聖杯戦争でのスザクは常に最善かそれに近い行動を取り続けてきたと言っていい。 当初バーサーカーを単独で行動させた事も並のマスターやサーヴァントが相手であればベストといって差し支えない策だったし、運悪く匂宮出夢に発見されてしまったが聖杯戦争において弱点となるマスターが潜伏するのはむしろ良い判断だった。 それらの策は結果的に裏目に出たが、それでもそのすぐ後に令呪を用いてバーサーカーとの対話を図り、鳴上悠から宝具を奪還したことも些か拙速ではあったが彼らの窮状を鑑みれば限りなくベストに近い判断だった。 無い無い尽くしの中スザクは見事な奮戦を続けていたが、運を味方につけることだけはできなかった。 もしも彼に失策と呼べるものがあったとすれば、先ほどの戦いの後単独で行動してしまったことと、失地を挽回しようと焦るあまり自分達の行動が第三者に見られる可能性がある事を失念していたことにある。 スザクが気付いた通り慎二らは先ほどの戦いを学園の屋上から遠目に観察していた。 以前にサーヴァントを使役した経験のある慎二は英霊が視力においても人間のそれを遥かに超越することを知っていた。 故に屋上という比較的安全な場所からでもある程度は戦闘の様子を窺い知る事ができると判断したのだ。 その判断は功を奏し夜間とはいえ街中で堂々と戦闘に勤しんでいた二人のマスターとスザクらの姿をライダーとキャスターの眼はしっかりと捉えていた。 流石にどのような会話がされていたかを聞き取ることは叶わなかったが突如として戦場に介入し、特撮ヒーローのような姿のサーヴァントの宝具の一部を奪いランサーのマスターを攫い、もう一方のマスターに電話をかけたスザクやバーサーカーの動向から慎二はある結論を導き出した。 即ち、スザクは自らが主導権を持った同盟を築くために戦場に現れ、ランサーのマスターに令呪を使わせランサーの戦力を出汁にして恫喝することでもう一人のマスターとも共闘を持ちかけたのだと。 このように考えればランサーのマスターを殺さなかったスザクらの動きの理由にも説明がつく。 令呪の使用を示す強烈な赤い光が出たことをライダーらがしっかりと見ていたことも慎二に自らの推理を肯定させる材料になった。 そして三組の中からスザクを選んで奇襲を仕掛けたのもいくつかの理由あってのことだ。 一つは単純な位置関係。 スザクらは運悪く慎二らに最も近い位置に移動してしまっていたのだ。 もう一つはスザクら三組の同盟の関係性だ。 慎二は戦闘に介入して引っかき回した挙句片方のサーヴァントの宝具を奪い、片方のマスターに令呪を使わせたスザクは介入された双方から恨みを買っていると推理した。 逆に残る二組のマスターのどちらかを攻撃すれば折角の共闘関係を壊させまいとスザクが横槍を入れる可能性が高いとも考えた結果、スザクを潰すのが最もリスクが低いという結論に達した。 逃げの一手を打たれないようあらかじめキャスターを後ろに伏せさせた上で敵サーヴァントの索敵範囲外からライダーの宝具“黒王争覇”で強襲を仕掛けたのだった。 それでも同盟相手が救援に来るのではないかという可能性を完全には捨てきれなかったため、慎二は大きな態度とは裏腹に内心では気が気でなかったのだが、結果的にはその心配は杞憂に終わった。 残る二組は元々一戦交えていた連中だ。主導権を握っていたスザクが潰えれば再び勝手に潰し合ってくれるのは明白だと慎二は考えている。 元々間桐慎二は所謂要領が良いとされるタイプの人間だ。 それを支えているのが(本人はさして自覚もしていなければ誇ってもいないが)人より優れた推理能力だった。 第五次聖杯戦争では魔術回路を有さない事から来るコンプレックスや家のしがらみ、過剰なまでの衛宮士郎や遠坂凛への敵愾心から最後まで発揮されることは無かったそれがこの場においてついに存分に振るわれた。 この聖杯戦争でもやはり魔力供給は不得手だが、サーヴァントを指揮するマスターとしては決して悪くない素養を持っているのだ。 対キャスター戦に続いて完全な勝利を収め、バーサーカーをも手駒にした慎二には精神的な余裕が生まれつつあった。 キャスターを使ってスザクを引き続き脅すことで彼はスザクがこれまで入手してきた情報をそっくり手に入れることにも成功した。 それを基にして慎二なりの今後の戦略を構築していく。 (夜も明けたしとりあえずは家に帰ってしばらくは静観だな。 バーサーカーが回復しないようなら魂喰いでもさせれば良い。 やりすぎたらペナルティがあるらしいけどそれで損をするのは僕じゃなくて枢木の方なんだ、ゲームみたいな杓子定規なルールはこういう時ありがたいね) それは先ほど間目智識からムーンセルについて聞き出した時に確かめた事だった。 多数のNPCを殺傷し続けた際、ペナルティを被るのは実行したマスターとサーヴァントに限定される。どのような状況にあるかは斟酌されないということだ。 (衛宮、少しは猶予をやるよ。 あっさり僕が勝ってしまったんじゃつまらないからね。 べ、別にあいつのサーヴァントの宝具が怖いわけじゃないぞ) ニヤつきながら間桐家へと引き返していく慎二の背中をキャスターは無表情で見つめていた。 (まだまだ警戒されているようですね。 これはもう少し積極的に取り入らなければ隙を作らないかもしれません) 先ほど屋上でスザクらの戦闘を観察させた際、慎二はやろうと思えばより詳細な情報を知ることもできた。 彼が屈服させたサーヴァントは魔術師の英霊であるキャスター。 その類い稀な道具作成技能を活用すればサーヴァントの眼に頼らずとも慎二が直接戦況を覗くこともできた。 そうしなかったのは令呪で従わせているにも関わらず未だ完全には自分への警戒を解いていないからだ、とキャスターは考えている。 いや、先ほどの戦いでキャスターに背中を晒すような指示はしていたことから基本的には屈服させたものと思っているが無意識レベルでは信用していない、といったところだろう。 未だサーヴァントとしての意識が薄いキャスターは知らないことだが慎二が元いた世界の聖杯戦争においてキャスターのサーヴァントは奸智に長けた裏切りのクラスとして知られている。 如何に令呪の力で従属させているとはいっても結局のところキャスターも慎二にとっては敵サーヴァントの一人でしかない。 そんな輩に自身の命を預ける道具を用意させるなど自己の保身を何よりも優先する今の慎二には考えられないことだった。 当然にして彼は未だキャスターに間桐家を工房として使う許可を与えていない。 安心できないという何ら戦略的見地に基づかない理由で高い後方支援能力を持つキャスターを通常戦力としてしか用いないのは下策と評する他ないが、その下策が結果的にキャスターにとって動きにくい状況を作っているのもまた事実ではあった。 キャスターはこのままずっとあの小物としか言い表せない少年の道具でいる気は全く無い。 いや、そもそも極めて意思の薄弱な羽瀬川小鳩のサーヴァントでい続ける気も更々無かった。 彼はこの戦いを勝ち上がるためにより有力なマスターを常に探し求めている。 だがその計画を実行に移すためには現在自分の生殺与奪を握っている慎二を上手く油断させ、厳しい条件の中謀殺せねばならない。 バーサーカーをも従えた慎二はいよいよもってキャスターを使い潰すことに躊躇いなど覚えなくなるだろう。 何しろバーサーカーのサーヴァントには裏切りを考える思考能力など無いのだから。 (ただ…今のところ運があの少年に味方しているのも事実。 その運が持続している限りは従っておくのも一つの手ではある…) キャスターが分析する限り間桐慎二はこの聖杯戦争に参加したマスターの中でも最も幸運に恵まれているマスターだ。 彼自身は貧弱なマスターながら開始早々に輪をかけて貧弱なマスターである小鳩を補足し、キャスターを手駒にしたという幸運を発揮した。 また、小鳩の拷問に時間を費やし、学園に寄り道したことで運良く先に学園で行われたのであろう戦闘や直後に起こった大規模な宝具合戦に巻き込まれなかった。 更に幸運なことにスザクらの戦いも比較的安全な場所から傍観し、最もリスクの低い戦略を立て、結果としてバーサーカーをも屈服させることにも成功した。 運もまた実力の内。キャスターは生前の経験則から運を味方につけている者を無理に排除しようとする者は往々にして手痛いしっぺ返しを受ける事を知っている。 如何にしてあの小心者なマスターに取り入り、どのようなタイミングで反旗を翻すか。 キャスターはそれらの方策を未だ計りかねていた。 【深山町・民家跡/早朝】 【間桐慎二@Fate/stay night】 【状態:疲労(小)、気分高揚、残令呪使用回数2画】 【ライダー(ラオウ)@北斗の拳】 【状態:魔力消費(中)、令呪】 ※令呪の詳細は以下の通りです 間桐慎二に異を唱えるな 【枢木スザク@コードギアス 反逆のルルーシュ】 【状態:疲労(大)、右腕骨折、左腕欠損(処置済)、両足喪失、絶望、残令呪使用回数1画】 【バーサーカー(ランスロット)@Fate Zero】 【状態:ダメージ(特大)、魔力消費(特大)、右大腿に刺し傷(通常の回復手段では治癒不可能)、令呪】 ※令呪の詳細は以下の通りです 間桐慎二及びラオウに命令された事柄を除く一切の行動を永久に禁じる ※リュウキドラグレッダーは完全に破壊されました 【キャスター(ゾルフ・J・キンブリー)@鋼の錬金術師】 【状態:健康、令呪】 ※令呪の詳細は以下の通りです 間桐慎二及びラオウに従え 間桐慎二の命令があり次第速やかに自害せよ
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『わたしは夢を見た、その夢はある人の記憶』 「杏寿朗」 「はい!母親!」 「よく考えるのです。母が今から聞くことを。なぜ自分が人よりも強く生まれたのか分かりますか?」 「うっ……分かりません!」 「弱い人を助けるためです。生まれついて人よりも多くの才に恵まれた者はその力を世のため人のために使わねばなりません。天から賜りし力で人を傷つけること、私腹を肥やすことは許されません。弱き人を助けることは強く生まれ者の責務です。責任を持って果たさなければならない使命なのです。決して忘れることなきように」 「はい!」 「私はもう……長くは生きられません。強く優しい子の母になれて幸せでした。後は頼みます」 「うまい! うまい! うまい!」 「煉獄さん食べ過ぎ!?」 「うまい!!」 とある店に少女と青年がいた。 ひとりは赤いグラデーションがかかった髪をしていて、御刀を持った少女。彼女の名前は安桜美炎。今回の聖杯戦争をの参加者である。 もうひとりは炎を思わせる焔色の髪と眼力のある瞳をしていてる青年。彼の名前は煉獄杏寿郎。今回の聖杯戦争で美炎が召喚したセイヴァーのサーヴァントである。 どうやら二人でお昼を食べていたようだか……。 「うまい!!」 「まだ食べるの!?」 そして、しばらくして……。お昼を食べた二人は聖杯戦争の話をしていた。 「安桜少女! 君の願いはなんだ!」 煉獄が願いについて美炎に聞く。 「わたしには誰を犠牲にしてまで叶えたい願いはないかな。わたしはこの聖杯戦争を止めたい!」 「そうか! 俺の願いは誰も死なせないことだ! だから君の力になろう!」 「うん、ありがとう! 煉獄さん!」 美炎は煉獄に笑顔でお礼を言う。 「話も終わったし、なにか食べたよう!!」 「まだ食べるの!?」 この二人の聖杯戦争はどうなるのか。 【サーヴァント】 【クラス】 セイヴァー 【真名】 煉獄杏寿郎 【出典】 鬼滅の刃 【性別】 男性 【ステータス】 腕力B 耐久B 敏捷A 魔力B 幸運C 宝具A 【属性】 中立・善 【クラス別能力】 カリスマ:B 軍団を指揮する天性の才能。団体戦闘において自軍の能力を向上させる。 対英雄:B 英雄を相手にした際、そのパラメーターをダウンさせる。ただし反英雄には効果は薄い。 【保有スキル】 単独行動:A マスターから魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。 ランクAならば、マスターを失っても一週間は現界可能。単独でも最後まで戦い続けた彼の逸話が昇格したスキル。 戦闘続行:A 最後まで戦い続けた彼の逸話が昇格したスキル。 【宝具】 『煉獄』 ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:1~100 最大補足:1000人 彼が使う炎の呼吸の奥義が宝具になったもの。敵を一気に殲滅する。 【人物背景】 『鬼滅の刃』の登場人物。 『鬼殺隊』の『炎の柱』にして、『炎の呼吸』の使い手。 正義感が強く、明朗決活で豪快な性格。 面倒見の良い性格でもある。 彼の最期は『上弦の参』である『鬼』の『猗窩座』との戦いである。その戦いで彼は死亡するが、その意志と想いはとある少年たちに託された。 【サーヴァントとしての願い】 誰も死なせないこと 【方針】 マスターに任せる 【把握素体】 原作漫画及び、アニメシリーズ&劇場版 【マスター】 安桜美炎 【出典】 刀使ノ巫女 刻みし一閃の燈火 【性別】 女性 【能力・技能】 『写し』 刀使の基本戦術で、最大の防御術。 『迅移』 刀使の攻撃術の一つ。通常の時間から逸して加速する。 『八幡力』 筋力を強化する。 『加州清光』 彼女が使う御刀。 【人物背景】 ゲーム『刀使ノ巫女 刻みし一閃の燈火』の主人公。『美濃関学院』所属の中学二年生。 前向きで真っ直ぐな性格。人懐っこい性格でもある。 アニメの主人公『衛藤可奈美』とは友人でもあり、ライバルでもある。 参戦時期はゲーム終了後である。 【マスターとしての願い】 特になし。聖杯戦争を止める。 【方針】 協力してくれるマスターを探す。 【ロール】 とある学園の生徒で刀使。 【把握素体】 ゲーム及び、OVA